対象OS:Windows 7Windows 8Windows 8.1Windows 10
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退社した人のPCや前の管理者が管理していた共有PCなど、パスワードが分からなくなり、仕方なくWindows OSを再インストールする羽目になった、ということもあるのではないだろうか。実は、パスワードが分からなくなっても、ちょっとした操作でパスワードの再設定ができる。ただし悪用は厳禁である。他人のPCに対して許可なく、以下の方法でログオン(サインイン)すると犯罪になる。

以下、Windows 10のインストールメディアを使い、Windows 10のパスワードを解除する手順を紹介する。他のバージョンのインストールメディアやWindows 7/8/8.1でも同じ手順でパスワードの再設定が可能だ。

●Windows OSのパスワードをリセットする裏技

パスワードを再設定するには、ちょっとした裏技(?)を利用する。Windows 7/8/8.1/10のログオン(サインイン)画面にある[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックした際に、コマンドプロンプトが起動されるように細工するのだ。

○Windows OSのインストールメディアを作成する

細工を行うため、Windows OSのインストールメディア(Windows OSのインストール用DVDか、それをUSBメモリなどにコピーしたもの)を用意する。マイクロソフトのWebサイトから簡単にツールとOSイメージがダウンロードできるので、Windows 10のインストールメディアを作成するのが手軽だろう。パスワードを再設定したいWindows OSのシステムファイルを書き換えるだけなので、インストールされているOSバージョンと同じものである必要はない(Windows 10のインストールメディアでもWindows 7のパスワードを解除できる)。

Webブラウザで、以下の「Windows 10のダウンロード」ページを開き、[ツールを今すぐダウンロード]ボタンをクリックすることで、メディアクリエーションツール(MediaCreationTool.exe)をダウンロードする。

「MediaCreationTool.exe」を実行すると、[Windows 10セットアップ]ウィザードが起動するので、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択して、指示に従って、インストールメディア(DVDやUSBメモリ)を作成すればよい。

○パスワードを忘れたPCをインストールメディアで起動する

用意したWindows 10のインストールメディアを使って、パスワードを忘れてしまったPCを起動する(DVDやUSBメモリから起動するようにBIOS設定を変更するのを忘れないこと)。セットアップ画面([Windowsのインストール]ダイアログ)が開いたら、[Shift]+[F10]キーを押してコマンドプロンプトを開く。

このコマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行する。「utilman.exe([コンピューターの簡単操作]の実行ファイル)」をバックアップした後、cmd.exe([コマンドプロンプト]の実行ファイル)をutilman.exeという名前にしてコピーする。

これで、Windows OSのログオン画面にある[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックすると実行される「utilman.exe」の実体が、「cmd.exe」となり、コマンドプロンプトが起動されるようになるわけだ。なお、ここではWindows OSのシステムファイルがD:ドライブに存在するとしている(本来はC:ドライブだが、インストールディスクで起動すると、C:になるとは限らない)。

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d:
cd \windows\system32
ren utilman.exe utilman.org
copy cmd.exe Utilman.exe
exit
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・コマンドプロンプトで実行するコマンド
画面は、D:が元のC:ドライブであったものとしている。最初にdirコマンドを実行して、ファイル名やラベル名、ディスク容量などで確認すること。


コマンドプロンプトで実行するコマンド画面は、D:が元のC:ドライブであったものとしている。最初にdirコマンドを実行して、ファイル名やラベル名、ディスク容量などで確認すること。

Windowsセットアップメディアを取り外し、[Windowsセットアップ]ダイアログの右上の「×」をクリックしてインストールを取り消してから、Windows OSを再起動する。

○コマンドを使ってパスワードを変更する

サインイン画面が表示されたら、右下の[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックする。すると、[コンピューターの簡単操作]ダイアログではなく、上記の操作により「utilman.exe」としてコピーした「cmd.exe(コマンドプロンプト)」が実行される。

ここで以下のコマンドを実行して、Administratorや既存のユーザーに対して新しいパスワードを設定する。この際、設定済みのパスワードの確認は行われないので、パスワードを忘れてしまったユーザーに対しても、新しいパスワードを設定できる。

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net user <ユーザー名> <新しいパスワード>
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・パスワードを再設定するためのコマンド

再びWindows 10のインストールメディアで起動して、実体が「cmd.exe」になっている「utilman.exe」を、バックアップしておいたオリジナルの「utilman.org」から元に戻せばよい。

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del utilman.exe
ren utilman.org utilman.exe
――
・元に戻すためのコマンド

●MicrosoftアカウントでサインインしているWindows 8/8.1/10の場合

○Microsoftアカウントのパスワードをリセットする

MicrosoftアカウントでサインインしているWindows 8/8.1/10の場合、この方法でMicrosoftアカウントのパスワードは変更できない。

本人がパスワードを忘れた場合は、以下のMicrosoftアカウントの[パスワードのリセット]ページを開き、指示に従ってMicrosoftアカウント名やCAPTCHAを入力すると、パスワードリセット用のリンクがアカウント作成時に指定したメールアドレスに送られてくるので、メールに記載されたリンクを開き、新しいパスワードを設定すればよい。

○アカウントを追加してサインインする

他人のMicrosoftアカウントが設定されている場合、上述の細工を使って、Administratorアカウントを有効化することで、パスワードを解除できる。

[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックしてコマンドプロンプトが開いた後、以下のコマンドを実行して、Administratorアカウントを有効化、パスワードを設定すれば、Administratorアカウントでサインインできるようになる。

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net user Administrator /active:yes
net user Administrator <パスワード>
――
・Administratorアカウントを有効にしてパスワードを設定するコマンド

パスワード設定後、[電源]アイコンをクリックし、メニューから[再起動]を選択して、Windows 8/8.1/10を再起動する。

再起動後、Windows 8/8.1の場合、[サインイン]画面でのユーザー名の左側に矢印が表示されるので、ここをクリックする。ユーザーの選択が行えるので、「Administrator」を選択、先ほど設定したパスワードを入力してサインインする。Windows 10の場合は、[サインイン]画面の左下にアカウント名が表示されるので、「Administrator」をクリックする。



これでWindows 8/8.1/10の操作が可能になるので、必要なファイルをコピーしたり、新しいアカウントを追加したり、パスワードが分からないMicrosoftアカウントを削除したりといった作業を行えばよい。

このようにちょっとした操作により、簡単にパスワードの再設定が可能だ。パスワードを忘れてしまったPCを救済する方法として有効な半面、セキュリティ面では大いに不安の残る仕様(?)となっている。パスワードが設定されているからといって安心できないことがお分かりいただけただろう。ノートPCなど、簡単に盗まれたり、忘れたりしてしまうようなもののハードディスクは、BitLockerで暗号化しておくなど、セキュリティを高める工夫をした方がよい。

 

 

 

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「Windows 10 Fall Creators Update」、2017年10月17日にリリース MRヘッドセットも同時発売

Windows 10でストアアプリをインストールできないとき

Microsoftは2017年9月1日(現地時間)、ドイツのベルリンで開催された家電見本市「IFA 2017」で、Windows 10の大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」を2017年10月17日にリリースすると発表した。

・「Windows 10 Fall Creators Update」に搭載される新機能まとめ

Windows 10 Fall Creators Updateは、Widnows 10で4回目となる大型アップデート。Microsoftは2017年4月に、Windows 10の大型アップデートは年2回(3月と9月に)実施することを目指すと発表していたが、今回のアップデートは10月にずれ込むことになった。

Windows 10
Fall Creators Updateでは、「Windows Mixed Reality(Windows MR)」と呼ばれるMR(Mixed Reality:混合現実)機能の拡充をポイントの1つに挙げている。この機能を利用するためのヘッドセットデバイスもAcer、Dell、HP、Lenovoから10月17日に発売される。価格は299ドル(約3万3000円)から。ASUSも2018年春の投入を予定している。

Microsoftは、Windows 10 Fall Creators Updateのテーマを「誰もが持つ創造性を刺激するプラットフォームの実現」と位置付け、主なコンシューマーやビジネスユーザー向け新機能として「Windows Ink」機能の拡充、写真と動画を整理して動画ストーリーを自動作成する「Windows Story Remix」アプリの提供、ローカルストレージを有効利用できる「OneDrive Files On-Demand」の実装、セキュリティソリューション「Windows Defender」の強化、「視線追跡による操作機能」などアクセシビリティ機能の強化などを挙げている。また開発者向けとしても、Windows/iOS/Androidで共通したマルチプラットフォーム対応の開発環境、あらゆるデバイスでデザインや操作対系の共通化を目指す新たなデザインシステム「Microsoft Fluent Design System」などを提供する。

 

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Windows 10でストアアプリをインストールできないとき

Surface Laptopの「Windows 10 S」がプレビュー版としてほかのPCでも利用可能に

Windows 10は、同じマイクロソフトアカウントでストアアプリを、インストールできるデイバス数が最大10台までとなっている。


ストアアプリをインストールできない
Windows 10は、同じマイクロソフトアカウントでストアアプリを、インストールできるデイバス数が最大10台までとなっている。これはとても厳しい制限だが、11台目にインストールしようとするとはじかれてしまうのだ。ちなみに、Windows 8.1は、81台までインストールできた。そんな気軽な語呂合わせで決めるのならば、100台にして欲しいところだ。せめて、10に合わせて欲しくなかったが……。

台数をオーバーしてしまった場合、利用頻度の少ないデバイスを「アプリとゲーム」の管理デバイスからはずすしかない。エラー画面が表示されているなら、「デバイスを削除する」をクリック。そうでないなら、マイクロソフトの設定画面から、「ダウンロードデバイスを管理する」ページを開く。

デバイスの一覧が開くので、外す端末の「削除」をクリックしよう。もし、同一デバイスが重複して登録されているなら、「アプリが最後にインストールされた日時」の古い方を削除すればいい。確認ダイアログで、「このデバイスを削除する準備ができました」にチェックし、「削除」を押せば完了。ストアアプリをインストールできるようになる。

Windows 10では同じアカウントで最大10台までしか、ストアアプリをインストールできない。新しいPCで使いたい場合は、以前の端末のいずれかを削除する必要がある。

 

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Surface Laptopの「Windows 10 S」がプレビュー版としてほかのPCでも利用可能に

9月から実施されるOffice Insiderの変更が発表 ~“Insider ファースト”は“Insider”に

米Microsoftは23日(現地時間)、PC向けのWindows 10 Insider Preview「Build 16273」をFast ringで公開。これにともない、文教向けのOSとして発表された「Windows 10 S」をInsider向けに提供開始した。

Windows 10 Sは日本国内で7月20日発売された13.5型クラムシェルノート「Surface Laptop」に搭載されているOS(“もっともバランスの取れた”13.5型クラムシェル「Surface Laptop」の仕様参照)。Windowsストアでのみアプリをインストールでき、既定のWebブラウザがEdgeから変更できないといったセキュリティ重視の設計が特徴。

Windows 10 Sを試すには、「設定→更新とセキュリティ→Windows Insider Program」から設定可能としているが、インストールできるのはWindows 10 ProかWindows 10 Enterpriseが稼働しているPCに限られる。

 

 

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9月から実施されるOffice Insiderの変更が発表 ~“Insider ファースト”は“Insider”に

LaTexスタイルの数式入力が「Office 365」で利用可能へ

米Microsoft Corporationは12日(現地時間)、Windows デスクトップ向けの“Office Insider”のレベル名を変更することを明らかにした。“Insider ファースト”は“Insider”に、“Insider スロー”は“月次チャネル (対象指定)”となる。なお、内容に変更はなく、ユーザー側での対応も必要ない。

今回の変更は、9月から実施される“Office 365”の更新モデルの簡素化に伴うもの。新しい更新モデルでは、機能更新の頻度が年3回から年2回に削減され、3月と9月に定期リリースされる。一方で、機能更新プログラムのサポート期間はリリースから18カ月へと延長される。これはWindows 10と共通だ。

開発段階の機能をいち早く体験できる“Insider”レベルは、毎週リリースされる。これらの変更を1カ月ごとに受け取りたい場合は、“月次チャネル”レベルを選択すればよい。加えて法人向け“Office 365”では、年2回の機能更新プログラムをテストするための“半期チャネル”が選択できる。

また、“Insider”と“月次チャネル”の更新内容を案内するページが新設された。従来のものよりも分かりやすくなっているほか、英語版の更新から48時間以内にローカライズを行うという。

 

 

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LaTexスタイルの数式入力が「Office 365」で利用可能へ

教育市場に限らない? 実は「Windows 10 S」が向いている特定ビジネス用途

米Microsoft Corporationは7月30日(現地時間)、「Office 365」で「LaTex」スタイルの数式入力をサポートすることを明らかにした。“来月”のアップデート(8月の機能アップデート)で利用できるようになるという。

現行版「Word」の数式入力では、マウス入力で数式のパーツを組み立てる方法のほかにも、“UnicodeMath”と呼ばれるテキスト入力方式が用意されている。これを利用すれば“a/(b+c)”で分数式を表現したりすることが可能。「LaTex」スタイルとの互換性もある程度考慮されており、オートコンプリート機能と組み合わせて“¥alpha”を“α”へ自動変換することもできる。「LaTex」にある程度親しんだユーザーであれば習得は容易で、数式の入力効率を格段に高めることが可能だ。

しかし、「LaTex」スタイルに忠実なスタイルを求める声も根強くあったようだ。これに応えて、同社は「Word」の数式入力に“UnicodeMath”モードと“LaTex”モードを切り替える機能を早くから開発していたが、改善の余地が少なくないことから大々的に宣伝することは控えていたという。同社はASCIIで書かれた“LaTex”モードよりも、可読性に優れる“UnicodeMath”モードを推奨しているようだが、「LaTex」に慣れたユーザーにとっては“LaTex”モードの方が馴染みやすいだろう。

将来バージョンの「Word」には、“リボン”に“UnicodeMath”モードと“LaTex”モードの切り替えボタンが追加され、数式入力機能で好みのモードを選択できるようになるようだ。“LaTex”モードでは行入力を数式へ変換する自動ビルド機能が無効化されているので、[Shift]+[Ctrl]+[=]キーでビルドダウンを手動で行う必要がある。

なお、「PowerPoint」や「OneNote」でも“LaTex”モードがサポートされるが、制御語の挿入が必要となるなど、手順が若干煩雑だという。将来バージョンでの改善を期待したい。

 

 

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教育市場に限らない? 実は「Windows 10 S」が向いている特定ビジネス用途

MS、新サーモスタット「GLAS」の動画公開--「Windows 10 IoT Core」「Corana」利用

Windowsファミリーの新エディション「Windows 10 S」は、ビジネス向けの「Windows 10 Pro」をベースとして、教育機関向けに機能を制限したものだ。米Microoftが2017年5月2日(現地時間)に発表し、同社のクラムシェルノートPC「Surface Laptop」にプリインストールした他、サードパーティーから同OS搭載の低価格PCが登場している。

Windows 10は教育機関向けOSという位置付けだが、特定のビジネス用途も狙っているようだ。米ワシントンDCで2017年7月9日~13日(現地時間)に開催されたMicrosoftの年次パートナー会議「Microsoft Inspire」では、新サービスの「Microsoft 365」を含む数多くの発表があった。その発表内容の1つとして、ビジネス市場におけるWindows 10 SとProの違いが説明されている。

Windows 10 S最大の特徴は、WindowsストアからダウンロードするUWP(Universal Windows Platform)アプリしかインストールできないことだ。この制限と引き替えに、スムーズなOSの展開や高速な起動、そして強化されたセキュリティ機能というメリットを備える。

多くの一般ユーザーにとっては顕著な不満がないだろうが、Windowsストア経由でインストールできないアプリが必須のプロフェッショナルユーザーやビジネスユーザーにとっては厳しい制限になる。

ビジネス用途に関しては「Active Directoryドメインに参加できない」「スクリプトや既存アプリケーションの実行がブロックされる」「ツール系の利用に制限がある」「周辺機器のドライバサポートに制限がある」といった具合に、企業のIT運用ポリシーと合致しない可能性も高く、利用できる環境を選ぶ。

しかしMicrosoftによれば、Active Directoryの影響下にないモバイルでのPC利用が中心のユーザー、窓口や事務など特定作業が中心のユーザー、さらにはKIOSKやサイネージ用途での利用にWindows 10 Sは適していると指摘する。

通常のWindows 10 Proをポリシー設定で細かく制御するよりも運用が容易で、さらに組み込み向けOSの「Windows 10 IoT」を導入するよりも手軽かつライセンス的にも安価という特徴を生かし、適用範囲を広げていきたいと考えているのかもしれない。

実際にMicrosoftがどれだけこれらの業務分野にWindows 10 Sを拡販していこうと考えているのかは不明だが、筆者の推論ではユーザー企業やサードパーティーのパートナーによっては「Windows 10 Sがいい」と判断するケースも少なからずありそうだ。Microsoftはこうした事例をまずは積み上げて、様子を見ようという段階なのではないだろうか。

 

 

 

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タスク マネージャーがさらに強化された「Windows 10 Insider Preview」Build 16241

MicrosoftがJohnson Controlsと共同で新しいサーモスタットに取り組んでいる。このサーモスタットは、「Windows 10 IoT Core」を搭載し、「Cortana」の音声認識を利用するほか、バックエンドで「Azure」クラウドサービスを活用し、空気品質などに関する情報を提供する。

Microsoftは米国時間7月19日、新しいサーモスタット「GLAS」を紹介する「Reinventing the Thermostat」というタイトルの「YouTube」動画を公開した。

関係者らは、このデバイスの販売地域や価格に関する情報を明らかにすることを控えた。

Microsoftの関係者らは2016年12月、Windows 10 IoT Coreを搭載するデバイスはすべて、画面を装備する必要があると述べていた。「Windows 10 Creators Update」のリリース時点で、Cortanaはディスプレイを備えるすべての「Windows 10 IoT」デバイスに対応していた。

Harman Kardon製Cortana搭載スピーカ「Invoke」のように、画面やディスプレイのないデバイスは、内部でWindows 10 IoTを実行することができない。Harman Kardonが2017年中に発売予定のInvokeスピーカは、Linuxをベースとしている。

 

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タスク マネージャーがさらに強化された「Windows 10 Insider Preview」Build 16241

「Windows 10 S」が企業での利用に向いている理由

米Microsoft Corporationは13日(現地時間)、「Windows 10 Insider Preview」のPC版Build 16241およびモバイル版Build 15230を“Windows Insider Program”の“Fast”リングの参加ユーザーに対してリリースした。現在、“Windows Update”から更新可能。

Build 16241では、「タスク マネージャー」がさらに改善。たとえばGPUパフォーマンス関連では、[パフォーマンス]タブの[GPU]セクションでGPUの名前が確認できるようになったほか、初期状態で3D・コピー・ビデオデコード・ビデオ処理という4つのパフォーマンスモニターを同時に表示するマルチエンジンビューが表示されるようになった。この[GPU]セクション下部ではGPUメモリの使用量をチェックすることも可能で、本ビルドからはDirectXのバージョンだけでなく、機能レベルまで表示できるようになっている。

また、[プロセス]タブではアプリケーションのグループ化がサポートされた。たとえばタブごとに異なるプロセスを割り当てている「Microsoft Edge」の場合、「Microsoft Edge」のメインプロセスの配下に、それぞれのタブのプロセスがツリー表示されるようになっている。タブのタイトルも「タスク マネージャー」で確認可能となっており、どのタブがリソースを過剰消費しているのかを簡単に把握できる。

さらに、“Windows Update”の配信に関するオプションが拡充された。

Windows 10には、Microsoftから入手したアップデートデータを、ローカルエリアネットワークに存在する他のPCと融通しあうことができるP2P配信機能が搭載されている。個人で複数のデバイスを利用している場合などに有効化しておくと、インターネットの帯域を節約することができて効果的だ。

同社によると、“Windows Update”のP2P配信機構は“ストア”からのダウンロードなどにも活用されているとのことで、本ビルドではこのP2P配信機構がどのように利用されているかを視覚化したり、制御するための機能がいくつか導入された。

本ビルドでは、「設定」アプリの[配信の最適化]画面に“詳細オプション”と“アクティビティ モニター”というリンクが追加されている。

[詳細オプション]画面では、バックグラウンドダウンロードで使用されるダウンロードの帯域を制限し、これらのダウンロードがデバイスの快適な利用を妨げないようにコントロールすることが可能。P2P配信機能はインターネット上のPCとの間で有効化することも可能で、その場合はアップロードの帯域がそのために消費されるが、本ビルドではそれに消費されるアップロードの帯域を制御することもできる。

一方、[アクティビティ モニター]画面では“Windows Update”のダウンロード・アップデート統計情報を閲覧することが可能。P2P配信機構がどこからデータを入手しているか、どこへデータを配信しているかを確認することができる。

そのほかにも、シェル関係ではロックスクリーンでPINとパスワードのリカバリーを行う機能を搭載。新しいユーザーインターフェースデザイン“Microsoft Fluent Design System”のアクリルマテリアル効果の改善も図られた。ゲーム機能や複合現実機能でも、多数の改善が盛り込まれている。

また、Linuxディストリビューション「Ubuntu」が“ストア”から導入可能になったことも併せてアナウンスされた。これに関しては下記リンクのニュース記事を参照してほしい。

 

 

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Windows 10でサードパーティーウイルス対策ソフトを「一時的に無効化」も--MSが説明

米Microsoftが5月2日に発表した「Surface Laptop」には、教育機関、学生向けの「Windows 10 S」が搭載されている。Surface Laptopは、日本でも5月26日に発表会が行われ、7月20日から販売が始まる。

Surface Laptopは、13.5型のタッチパネルディスプレイ(2256×1504ピクセル/10点タッチ対応)を搭載した薄型ノートPCだ。上位モデルが14万6800円(Core i5-7200U、8GBメモリ、256GB SSD)、下位モデルが12万6800円(Core i5-7200U、4GBメモリ、128GB SSD)となっている。Core i7搭載版のリリースも予定されているが、こちらの発売は秋頃になる予定だ。

5月26日に行われた発表会では、Surface Laptopだけでなく、2in1タブレットの第5世代目となる「Surface Pro」、米国では2016年に発表されていた「Surface Studio」など、数多くのSurfaceラインアップの発売が正式に発表された。

今回は、このSurface Laptopに搭載された、教育機関や学生向けというWindows 10 SがどんなOSなのかを見ていこう。

●Windows 10 Sは教育機関などに向けた管理しやすいOS

Windows 10 Sでは、Win32のデスクトップ アプリケーションを動かすことが出来なくなっている。このほか、オンプレミスのドメイン参加ができなかったり、ブラウザのデフォルトがEdgeに固定されたりしている(他のブラウザをインストールして利用することはできる。Edge以外のブラウザーをデフォルトに設定することができないだけだ)。また、仮想化のHyper-V、Subsystem for Linux、AppLockerなどは動作しない。他のWindows 10とは異なる点がいろいろある。

アプリに関しては、Windowsストア経由でしかインストールできなくなっている。ただし、UWPでカプセル化したWin32アプリケーションは、Windows 10 Sにインストールすることが可能だ。WebサイトからダウンロードしたWindowsアプリケーションをインストールしようとしても、OS権限でインストーラが停止して、インストールすることはできない。つまりアプリは、WindowsストアからUWPアプリしかインストールできないわけだ。

アプリの入手をWindowsストアだけに限ることで、違法なアプリケーション、マルウェアが入ったアプリケーションなどがインストールされないようにしている。

米国では、PCの管理インフラとして、教育機関向けの「Intune for Education」が発表されたほか、「Office 365 for Education with Microsoft Teams」の1年間の使用権もバンドルされることが明らかにされている。日本国内では、「Office Home & Business 2016」のライセンスが付属する。

●Windows 10 Sを搭載した安価なPCも登場

Windows 10 Sのリリースに合わせて、Microsoftでは、Office 365 Personal(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote)などのWin32アプリケーションをWinodwsストアで提供できるように、Win32アプリケーションをUWPカプセル化するDesktop App Converterにかけて、UWPアプリ化してWindowsストアで提供する。また、Surface Laptopには、Minecraft Education版をバンドルする。

Surface Laptopは、Googleの「Chromebook」の対抗製品といわれている。Surface Laptopのほかに、Acer、Dell、HP、Samsung、東芝、富士通などから、Windows 10 Sを搭載した製品が発売される予定だ。Surface Laptopの価格は約13万円からと安くはないが、サードパーティー製のWindows 10 S搭載PCの価格は189ドルから(約2万1000円から)用意されるという。

189ドルという低価格な製品は、さすがにSurface Laptopほどの性能は持っていないだろう。ただ、米国の学生にChromebookが普及していることを考えれば、なんとか学生にWindows 10とOfficeを使ってもらいたいというのがMicrosoftの思惑だと考えられる。

Windows 10 Sは、教育関係者の場合、無償でWindows 10 Proへのアップグレードができる。また一般ユーザーでも、49ドルでアップグレードが可能だ(2017年中は無償でアップグレード可能)。

●学生向けのWindows 10 S、普及する可能性は

Windows 10 Sの機能を見ていると、Windows 10 Proにさまざまな制限を付けたOSといえる(簡易版Windows 10ではなく、内部的にはフル機能を持つが、Windows 10 Sとして動作が制限されている)。

米国ではChromebookが普及していることを思えば、Windows 10 Sの戦略はそれほど突飛とは思わない。Surface Laptopに関しては、高額な製品というイメージが強い。ただ、他のPCベンダーから低価格な製品がリリースされるなら、Chromebookに対抗できる可能も高い。

一方日本国内では、学生向けというコンセプトでWindows 10 Sが成功するとは思えない。日本のユーザーは学生であってもフルスペックの製品に対するニーズは強い。学校側が、学生のPCに関する管理面を考えて、Windows 10 Sを勧める可能もある。しかし、日本の学校では、学生のPCを一括管理するという考えを持っていないため、米国のようにIntuneなどと合わせた学校向けのソリューションとしてはうまくいかない可能性がある。

また、Windows 10 Educationとの違いをどのように明確化するのかが不明だ。Windows 10 Educationは、Windows 10 Enterpriseを教育機関向けにしたOSだ。機能としては、Windows 10 Enterpriseとほぼ変わらない。ただ、ライセンス形態が、教育機関を対象として一括でライセンスを与えるボリュームライセンスになっている。Windows 10 Sのような制限はない。

●Windows 10 Sは、未来の企業向けOSかも?

Surface Laptopに関しては、現在はWindows 10 Sプリインストールモデルしか用意されていないが、将来的にはWindows 10 Proをプリインストールして、企業向けに販売されるかもしれない。個人的には、ハードウェアスペックや超薄型のノートPCといったフォームファクターを考えれば、一般企業でもニーズは高いと思う。

秋以降になれば、LTE通信モジュールを搭載し、Always Connected PC(eSIMを搭載し、簡単に通信キャリアと契約して、いつでもPCがネットワークに接続できる)に対応したSurface Laptopも登場するかもしれない(Surface Proには、LTEを搭載した製品が秋以降にリリースされる)。このような通信モジュールを搭載したSurface Laptopなら、一般企業は導入を検討するだろう。

Windows 10 Sに関しては、多くの学生が使うようになるには、Windowsストアに学生がほしいと思うアプリが用意されていくのかが、大きな問題になる。

Microsoftもそのあたりの事情は分かっているため、SpotifyやiTunesなどのアプリケーションを、Windowsストア経由で提供できるようにUWPカプセル化を進めている。ただ、まだまだアプリの数は少なく、多くのユーザーが満足している状況とはいえない。

しかし、企業での利用ということを考えれば、セキュリティ面や管理面からある程度の制限がかけられたり、一括して管理できたりする仕組みがあることは大きなメリットがある。将来的には、Windows 10 ProやEnterpriseに、Windows 10 Sが持つさまざまな機能制限を付け加えられるようになるだろう。

実際、Windows 10 Creators Updateでは、アプリのインストールをWindowsストアからだけに制限する機能が用意されている。ただし、CD/DVDドライブからのインストールができたりするため、Windows 10 Sほどの制限はない。また、特定のアプリだけをインストールできるようにするなど、制限をグループポリシーで細かく制御することもできない。

こうしたWindows 10 Sが持つ機能制限などは、Windows 10が今後アップデートされていく中で、徐々にWindows 10 ProやEnterpriseに取り込まれるだろう。

Windows 7の延長サポートが切れる2020年以降には、Windows 10においてもデフォルトでWin32のデスクトップアプリケーションのインストールを禁止し、Windowsストアからのみアプリをインストールできるように変わっていくかもしれない。もしかするとWindows 8.1の延長サポートが切れる2023年以降は、Win32アプリケーションの動作が禁止され、UWPアプリもしくは、UWPでカプセル化したアプリケーションしか動作しなくなるといった可能性もある。また、アプリの配布も、Windowsストア、企業の場合は企業ストアなどを使うようになり、認証されたアプリしか動作しなくなるかもしれない。企業としては、アプリケーションのUWP化を計画したり、既存のアプリケーションをUWP化することを検討して行く時期にさしかかっているのだろう。

 

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